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パチンコの展望を探る

一頭の馬の勝敗で、自分や従業員のみんなの人生が変わってしまうかもしれない。そんなこと、これまでは考えもしなかった。
ただこのときも、妨害があっても事故につながるようなものではなく、馬自体はすごく元気だというのは幸運だと思いました。
それに牧場は、いぜんとして元気です。このNHKマイルはどうでもいい、目標はダービーだ、というような盛り上がりがいぜんとしてありました。
ダービーにつきまとった“三“という数字。
オーナーの落ち込みも、激しかったし、これがダービーに尾をひくかもしれないと思いました。
しかしそうそう緊張してもいられないので、いろいろなことを考えました。 誰かが、タニノギムレットのこのダービーでは、「“三”という数字に縁がある」と言ってましたが。
たしかにそうだと思いました。
まずギムレットのダービーの枠順がゼッケン3、騎手が三十三歳。 それにわたし自身が三代目。
これでうまくギムレットが勝てば、C牧場、三頭目のダービーになり、T・Yくんも三頭目のダービーになります。

でも怖いのは、皐月賞、NHKマイルに続いて、三度目のまた三着です。
レースは、タニノギムレットが怒涛の追いこみで、勝利した。ついにC牧場三頭目のダービー馬が誕生した。 T・Y騎手は、三回目のダービージョッキーになった。
もうまわりはたいへんな応援で、特にオーナーはすごかった、らしいんですが、わたしは覚えていません。 もっともオーナーも覚えていないって言ってますけどね。
ただわたしの覚えていないわけは、オーナーとはちょっと違って、夢中になって、我を忘れたわけじゃなく、そういう状態とは逆に、静かな夢の中に入っていたみたいなんです。 いつもそうですが、スタートから比較的冷静に見ていたつもりです。
でも最後の直線は自分でもほとんど意識がありません。 先頭でゴールに入ったことはわかりましたが、まるでスローモーションの画像をみているみたいでした。
ああ、終わった、これでみんな終わった、という安堵感がありました。嬉しいとか、感動するとかの感情はなかった。 ダービーは、その馬に関わった人たち、そして競馬ファン全員に夢を与える。

それだけに一番人気の馬には、プレッシャーがかかる。
2度一番人気で負けているギムレット陣営には、重い重いプレッシャーがのしかかっていた。 夢はプレッシャーを打ち砕くか。
ギムレットは、そのすべての夢を背負い込んで栄光のゴールへと走ったのだった。
ひとつの大きなお祭りは終わりました。あとはまた他の牧場との激しい競争があります。 その中でいつも思っているのは夕ニノギムレットの産駒で、クラシックレースを勝ちたい、ということです。これがいまいちばんの夢です。N場長は言う。
その代わりというか、牧場のほうはすごかったらしい。全員がたちあがって応援をしたらしいです。
それで声を枯らした、という人もかなりいたらしい。 競馬場全体が、ダービーの興奮に包まれ、お祭りのムードに揺れ、やがて幕が下りたとき、やっとN・T場長は、我に返った。

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